考察ブログ『ショート』⓫ 要注意‼「成功者バイアス」と「生存者バイアス」の危険性

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その人の「サクセス・ストーリー」、本当に『信用』できますか?~「あなたには効果がない」他人の成功ノウハウの虚しさ。

世の中に散々出回っている「成功話」。

自己啓発本、投資&金融、収入アップ、お金にまつわるノウハウ、転職成功話、恋愛・結婚アドバイス、ストレス対策、断捨離、スピリチュアル&ヒーリング系、カウンセリング&コーチング。。。。

書店に行ってもアマゾン検索をかけても「一目瞭然」なのが、とにかく

ありとあらゆる分野で

●「私はこうして『成功』しました!」

●「誰でも簡単に稼げます!」

●「この方法で確実に『なりたい自分』になれます!」

●「私のカウンセリングを受ければ、あなたの悩みは絶対に解決します!」

といった「謳い文句」で溢れかえっています。

先日、コロナ禍が落ち着いたのを機に、久々に日本に一時帰国しましたが、

久しぶりに、かなり最新の大型書店に出かけて「ビックリ」してしまいました。

ネットの普及で「紙の書籍」が以前ほど売れなくなって久しい2023年ではありますが、

少なくとも、私が日本から海外移住した17年前の記憶と比較してみると、

その種類、数、タイトルの絶妙さ、表紙にかけているであろうコスト、デザインの豊富さ、手の込んだ陳列スタイルとディスプレイ、全てにおいて

各段にアップグレードされている

ではありませんか!

コロナ前の数年前にも、日本に一時帰国した時に書店巡りをしたことがありましたが、

その時と比較してみても、各段のグレードアップです。

日本在住の方にとっては、おそらく「当たり前の光景」なのかもしれませんが。。)

特に顕著だと感じたのは、とにかく

❶「タイトルで購買層に訴えかけようとする執念の凄さ」が垣間見れている

❷ 以前よりもはるかにコストをかけて、表紙のデザインとマテリアルを凝らせている

❸ 「既に以前さんざん出版されてきたコンセプト」であるにもかかわらず、名を変え、手を変え、品を変え、著者を変え、言い回しを変え、見栄えを変え、何十人もの別個の著者が何十冊も同じような内容の書籍を出版しており、競い合うかのように平積みされている

ということです。

ここに、出版業界の「焦り」が手に取るように伝わってきます。。。

確かにこれだけSNSやユーチューブ等の動画配信で、誰もがほぼ「無料」で「様々な情報」をワンクリックで入手できるようになった時代に突入してしまったのです。

出版業界だって指をくわえて見ているわけにはいきません。

とにかく、書店に足を運んできてくれる「読者候補(購買者候補)」の「心」を掴むため、

タイトルに凝り、

著者の経歴に凝り、

表紙のデザインとクオリティーに凝り、

何なら大幅に「カラーページ」「光沢ページ」を増やし、

更には、旧版の表紙の上に、最新バージョンのツルツルのカラー写真満載の新版カバーを「二重」に重ねる

そして「価格」を以前よりも明らかに「上げる」。

お金を払ってもらう上で、タダで手に入るネット上の情報や動画との『差別化』として、

「本」というハード(有形のモノ)の視点からと、「情報」というソフト(無形の価値)の視点から、の両方で、

紙の書籍の『高級化』が図られる時代にシフトしている

と感じました。

以前にも増してこれだけ「大量の書籍」が「アップグレードされつつ」もの凄いスピード感を持って市場に売り出され続けているのですから、

私達「読者(購買者候補)」が最も気を付けていかなければならないのが、

★「玉石混淆」の中から、どうやって「本当に内容のある、読む価値のある本を厳選していくか」

ということですね。

「お金を増やすノウハウについて書かれた本」が、ごまんとある。

「恋愛や結婚のノウハウについて書かれた本」が、ごまんとある。

「脳科学について書かれた本」が、ごまんとある。

著者はみな、高学歴かキラキラ系キャリアの学者さん方、経営者やコンサルタントの方ばかり。

場合によっては、今をときめくユーチューバーやブロガーの方が書かれた書籍もごまんとある。

「あれ?この本は、内容がちょっと『薄い』のでは!?」

「おや、この本は、ページ数のわりにはかなり内容の濃い、いつも手元に置いておきたい本だな(買おうか!?)。」

など、

実際の「本の中身」の「情報の価値」には、書籍の間でかなりの「差」がでています。

そんな時に、

たとえ自分にしっくりくる「読み心地の良い本」に出合えたとしても、はたして

そのノウハウは、あなたにとって本当に「実行可能」なものなのか!?

という『問い』を投げかけざるをえません。

もっと突っ込んで端的に言うと、

あなたの「バックグラウンド」と「現在おかれた環境」をもってして、その「著者(他人)の思考と経験ベースのノウハウ」で、「あなたが」実現できるものなのか?

という疑問ですね。

巷に出回っている「ノウハウ」のほとんどが、「成功者バイアス」「生存者バイアス」の産物である、という残酷な現実。

こうして、サイトを通じて情報を発信している自分自身も深く考えさせられることですし、私自身、改めて気を引き締めて情報発信をしていかなければならないな、と背筋が伸びる思いですが、

この世の中に出回っている『情報』、特に「成功体験もの」「ノウハウもの」「お金関係のもの」「自己啓発系」「勉強法」などの『情報』には、

成功者バイアスがかかっている

ことがかなり多いです。

「成功者バイアス」とは、要は、その「成功しました」と自分自身で語られている人の「ノウハウ」というものが、実は「その人のタイミング」で「その人のバックグラウンドや経験・経歴」で、なおかつ「その人を取り巻く、その人が制御してきたものではない環境や運や巡り合わせ」等のトータルの組み合わせで、初めて達成されたものであり、

その「私はこうやって成功しました」と言っている人の「ノウハウ」を「そのまま自分に当てはめよう」としても、ほとんどの場合

全く同じアウトプットはできませんよ。

というお話なのです。

よく考えれば、腑に落ちるはずですよね。

持って生まれた能力、特性、生まれ育った環境、関わってきた人間関係、親ガチャ、学校ガチャ、自分の生まれ育った時代・活躍期や壮年期の社会情勢、なんなら金利や為替までも、全てが絶妙に絡み合って

それぞれの人の立場というものを作っている

わけです。

●「主婦から数年で不動産投資家になりました!」

●「学生起業して、ネットで月数百万稼げるようになりました!」

●「たった3ヶ月で英語がペラペラになりました!」

●「この勉強法で、偏差値30から東大に合格しました!」

それはよかったですね。

おそらく、こういった「情報発信者の方々」の「成功体験」は、98%本物です。

ウソを書いたり、極端に話を盛ったり、読者を煽ったりしていることはないはずです。

(*ごく稀に、やっぱりウソでした。。相当盛っていました。。。かなり煽っていました。。。。という情報系もありますが・苦笑)

ただ、

「あなたの場合」は、きっとそのパターンで成功を掴めたのですね。

ということになってしまうでしょう。

ここに気づかずに、こういった「ノウハウ系情報」を「鵜呑み」にしてしまい、お金や時間や能力を大量に投入し過ぎてしまい(また「結果に期待し過ぎ」てしまい)、消耗しきってしまう方も結構おられます。

別の人が別の時期に、全く別の環境下で、その人のその「ノウハウ」通りに目標に向かって時間と労力を費やしても、

その人が得た成功と同じレベルのリターンを、誰もが得られるわけではありません。

それでも、真面目な努力家の一般の人達は、一生懸命にその「ノウハウ」を習得するためにお金を払い、時間を費やし、労力を使って、前向きに精進しています。こうした

💀「成功者バイアス」を逆手に取ったビジネスを展開している個人や企業

というものも、相当数存在しているように見えますね。

もちろん、「実現可能」「具現化可能」「再現可能」な『本物のノウハウ』を草の根レベルで実直に発信されている方も、たくさんおられることは事実ですが。

「見極め」が大切ですね。。


「生存者バイアス」の場合はもっと深刻。場合によっては、本当に『命の危険』に関わる。

「成功者バイアス」で時間やお金や労力を『浪費』してしまうのも辛いものですが、もっと怖いのが

「生存者バイアス」

です。

これは、下手をすると

命に関わる

ことだから、です。

例えば、登山の遭難者で生還された方、飛行機事故に巻き込まれつつも無事機体を立て直して乗組員・乗客全員を生還に導いたパイロットの方、火事現場などから無事避難できた方のお話といった、「個人レベルの生存者のお話」や、倒産・合併の危機を乗り越えた企業などの「社会レベルの生存者のお話」を、ニュース等で耳にすることがあるかと思います。

「あの時●●したから助かった」

「あの時●●の判断により、無事危機を脱することができた」

「あの時●●という交渉により、企業の存続を確定できた」

など、

必ずと言っていいほど「●●したから生存(存続)できた」

という「美談」が話題となります。

実際に「生きるか死ぬか」の現場で、無事に「生き抜いた」ことは、本当に奇跡ですし、その「生き抜くことに繋がった行動や方法」は、確かに賞賛されるものがあるのもまた事実です。

しかし、です。

これも先ほどの「成功者バイアス」と同じことで、

もしあなたが同じような「命の危険」に晒された場合に、

その「生存者」が、「その時」「その場所」で「その方法」を使って「生存できた」ことを、確実に「再現」できるとは限らないわけです。

「データ」として、そういった様々な分野で「生存を勝ち取った人のパターン」を、日頃から情報として学び、頭の片隅に入れておくことは、むしろ重要です。

しかし、自分が陥った危機というものが、その生存者の人と「全く同じ状況」であるパターンは、確率上限りなく100%にはならないわけです。

つまり、「成功者バイアス」にしても、「生存者バイアス」にしても、

物事を「鵜呑みにしてはならない」ということなのですね。

★「データ」として、そういった様々な分野で「成功(生存)を勝ち取った人のパターン」を「学び」つつ、自らの頭で考えて、自らの成功(生存)の『責任』を負う。

こういった姿勢を、常日頃備えていることが、非常に重要です。

この世には「0か100か」ということが、実はたくさん存在しています。

100に限りなく近くても、99.999999999…………は決して「100」ではない。

そして、限りなく「100」に近づけば近づくほど、実は「100」は「遠く」なっていきます。

このパラドックス、お分かりになるでしょうか?

でも、その「ノウハウ」を、あなたがあなたの思う理想通りに「再現」するには、100%で『100』にもっていかなければ、それは「実現」しないのです。

限りなく「100」に近づいている。99.99999999999999999……まで来ている。あと本当に「もう一歩」。

その『あと本当に「もう一歩」』の「部分の中」で、また別の99.9999999999……までの「道のり」が発生するんですね。これがキツイ。

あなたの知識や実力が、限りなく「100」に近づき、本当に99.999999999999…….のレベルで75や50や25を「凌駕」するようになったとしても、

「成功者バイアス」や「生存者バイアス」に気づかなければ、永遠に「99.999999999999……」のまま、です。

そこまでの「実力」や「胆力」を、その一つの「成功ノウハウ」に従って築いてきても、最終的には「何の結果も得られない」という「悲劇」がそこら中で起こっているのには、ちゃんと「理由がある」のです。

「ミリオネア」と同じような「アイデア」を持っていた人が、実はこの世の中に何億人といて、そして

「努力」「実力」「環境」「タイミング」「運」「サポート」の『全てのファクターが一致』した人のみが、「100」を「総取り」するという現実。

実は何十個、何百個、下手をしたら何万個もある「ファクター」のうちの「たった1つ」でも「満たせなかった人」は、たとえ99.999999999…..まで到達したとしても、「ミリオネア」には「なれない」。

「プロセス」としては、そして「学び」としては、確実に多くのものを得ることができているのですが、その「同じアイデアでミリオネアになる」という目標だけに関して言えば、それは「ゼロと同じこと」になってしまうという現実が、この世の中にはたくさんあるのです。

だから最初から100を目指すのには無理があるし、非現実的ですよね。

「0か100か」とは「そういうこと」です。

なので、私達は、実は「成功者バイアス」や「生存者バイアス」を「見抜く目」を養いつつ、先ほどの、「100」を目指してみる過程で経験する

「プロセス」としては、そして「学び」としては、確実に多くのものを得ることができている

という部分にフォーカスし、「人の真似」ではなく「自分だけの、一人に1つの成功法則」を目指していった方が、結果的に「成功しやすい」のですね。

人は「千差万別」。

「ナンバーワン」を目指すのではなく「オンリーワン」を目指す。

「成功者バイアス」「生存者バイアス」に踊らされている暇はないんです!

ジャミ―ロ

ジャミ―ロ

『運は自分でコントロールできる!!』ことを証明すべく「運を科学的に捉えてみる」という研究活動をしてきた「運の研究家」。「意味のある幸運な偶然の一致」をテーマに、フローやシンクロニシティ、プランド・ハプンスタンス理論といった、誰もが幸運の流れにのってハッピーに生きる方法を、20年にわたって研究中。

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